伏見稲荷大神御神占


一番 吉凶未分末大吉

罪あらば我を咎めよ天つ神たみはわが身の生みし子なれば

このみさとしは万民の罪穢れを背負いたまう大神の御心であり世の為人の為に尽くせとの御教えである。
何事につけ我が子をいつくしみ心をもってすれば前途は光明に輝きゆくゆくは必ず良き方に向かう事疑いない。

二番 大大吉

われたのむ人の願いを照らすとてうきよに残るみつのともしび

このみさとしは、、所願成就、福徳円満の兆しである。
ただし、法外の欲望を起こすとすべての財宝を失い、不幸の底にしずむことあり。
信仰を専らとし、施しを怠るな。

三番 大吉

あまてらす神の御心うけつぎて三つの宝のひかりくもらず

このみさとしは、何事も心に叶ふ兆しである。
思い立ったことは速やかにするがよい。
ただし準備を充分に心がけよ。

四番 凶後吉

永き世の苦しき事をおもへかしなになげくらんかりのやどりを

このみさとしは、今は煩悶や苦悩の時である。
人生に対する考え方を改めて神恩に感謝し、日々の生活に精進するならば
必ず新しい運命をひらくことが出来る。

五番 大吉

朝日さす夕日かがやくいなり山人のねがひをねぐときくなり

このみさとしは、これ迄の不幸はさらりと消え、
思はざる幸運到来の兆しである。迷いなく信心せよ。

六番 末吉

たのめただうき身につらきねぎ事も掛くれば叶ふ神のめぐみを

このみさとしは、今は万事意に任せず苦しみの多い兆しである。
ただ一心に神に頼る外なし。
心がけ次第で末遂に吉に向かうと知るがよい。

七番 凶後吉

むば玉のくらき闇路にまよふなりわれにかさなん三つのともしび

このみさとしは、今は深夜の道中に灯の消えたような有様である。
これまでの身の行いによって、いろいろな災いがむくいて来ているからである。
心を新しくしてひたすらに祈るがよい。
いずれ幸福がくる。

八番 吉凶相交末吉

世の中の人の心のうきぐもに空がくれする有明の月

このみさとしは、今は心配する事の絶えざる有様である。
世の中の道理をよくわきまえて、他人との交際に注意しないと
思はぬ損害をうける事がある。

九番 末大吉

うけもちの神もうらむな行末の青人草をたすけんがため

このみさとしは、思いを仇で返されるような、意外の不幸災難に会う兆しである。
又、他人の罪を負う様な事が起こる。しかし怒ることなく身の災難と
あきらめるがよい。この禍は、いずれ福となって報いられる。

十番 吉凶相半

かけばみちみつればかけてよの中の月こそ人の鏡なりけり

このみさとしは、心中に迷いのある兆しである。
物事を正確に判断せよ。まず自分の意思を堅固にせぬと幸運を失うことがある。

十一番 末大吉

たのしさもなほ日にそへてますかがみさかゆく末の光をやみん

このみさとしは、これ迄の苦労の日々は成功されゆく兆しがある。
油断なく、精進努力をおこたらぬがよい。ただし所願成就は先と知るがよい。

十二番 凶後吉

かくてのみよに有明の月ならば雲かくしてよあまくだる神

このみさとしは、人生の危機にある兆しである。
一歩誤ると思はざる破目になるおそれあり。
折角生まれてきた一生を誤らぬ様によくよく考えよ。
今は神に祈る外はない。

十三番 大吉

いなりやま神のしめゆふ宿なれば栄ゆく末もかぎり知られず

このみさとしは、希望にみちたよろこびの兆しである。
いま一層世の為につくす心であれば大いに幸福ありと知るがよい。

十四番 小凶後吉

いろいろの花にうつろふ野辺の露ただ世の人の心とぞみる

このみさとしは、悩み事の兆しである。よく注意せぬと不幸の始めともなるから
精進努力を第一として、人生に対する意欲をもっと高めよ。

十五番 中吉

われはわがいなり山の玉垣にあけくれ御代を祈るばかりぞ

このみさとしは、自分の仕事に熱意を失うと、思はぬ禍の起こる兆しである。
いまは邪道に入らぬ様によくよく注意せよ。

十六番 小吉

千早振る神のかずにてあらませばけふのみゆきをよそに見ましや

このみさとしは、人のうらみや、嫉妬をうける兆しである。身の行いを反省しないと
不慮の災いがある。殊に身内や知己に対して新設や施しを忘れるように心掛けよ。

十七番 向大吉

わが宿のあしみの草のしげれるはよしにせよとの教へなるらし

このみさとしは、身辺にいろいろ難儀の事起こりつつある兆しである。
その負担や責任を避けて、一身の安全を計ると却って身の破滅となるから、
むしろ自分から進んで難事に当たるがよい。
信望一身に集まり、徳を得る。

十八番 吉

たちばなの小戸の祓を始めにていまも清むる我身なりけり

このみさとしは、平安無事なる人生に疲れ、前途に希望を失いつつある兆しである。
今こそ心構えを一新すべき時である。

十九番 末吉

時雨するいなり山のもみじ葉は青かりしより思ひそめてき

このみさとしは、ふとした縁により男女の結ばれる兆しでる。
和合のよろこびはあるが色好みは禁物である。

二十番 後吉

いなり山杉のはかげに駒とめてしばし水かへ影をだに見ん

このみさとしは、仕事の一段落する兆しである。
すぐ新しい計画をたてよ。又、親しい者と別離の悲しみがある。
何事も思うように行かないけれども静かに時節到来をまつがよい。

二十一番 大吉

幸あれと祈るいなりのあら玉のひかりは家のうちにみつらむ

このみさとしは、一家繁栄所願成就の兆しである。
何事につけて思うままであるが油断せず精進をしないと掌中の玉を失うことがある。

二十二番 末大吉

稲荷山けふきさらぎの初午に乗りてぞ神は人をみちびく

このみさとしは、思はぬ他人の助けによって、思う事の未成就する兆しである。
ただし援助者に充分の礼をつくさないと身に危害をうけることがある。

二十三番 凶後大吉

名にも知れ天の益人平板をふさぎし石ぞいのちなりける

このみさとしは、これまで死ぬる思いの苦労をつづけてやっと峠をこしたところである。
ここで過去を精算して再出発せよ。幸運は前途に待っている。

二十四番 吉凶不分末吉

いなり山三つの玉垣うちたたきわがねぎごとを神もこたえよ

このみさとしは、あまりに功を急ぎすぎる兆しである。
せんては事を仕損ずる。順を追って気永に努力せよ。

二十五番 末吉

むらくものたちかくすとも程もなく晴れゆく月の光そへなん

このみさとしは、意外の妨害が出現して、不成功になる兆しである。
あまりに調子にのりすぎた結果である。
よく再考して過ちを改むれば、程なく元の通りになる。

二十六番 凶後吉

浮身をばいとど藻屑になしはてて流れをとむるしがらみぞなき

このみさとしは、他人の意のままになりすぎて身を亡ぼす兆しである。
一日も早く立て直しをしないと人生の敗者となる。
今が最後の機会である。

二十七番 吉凶相央

心からちりにまじはる神なればけがるることをいとひしもせじ

このみさとしは、礼儀作法をわきまえず驕慢強情で世の中を
あまりに甘く見すぎて他人にうとんぜられる兆しである。
自己反省と万事に慎みが肝要と知るがよい。

二十八番 大吉

もろ人のねがひをみつの山風に浮雲はろふ身こそやすけれ

このみさとしは、今まで諸人のために尽力してきた結果、望外の喜びの兆しである。
世人の尊敬を受け、一家の興隆の気運到来であるから、慎重に万事を計るべきである。

二十九番 向大吉

神直び直き心の花にこそ神の恵みの露もおくらめ

このみさとしは、永い間の迷いから覚めて、人生を見直して正しく進む兆しである。
あとは心掛けと努力次第で万福招来疑いない。

三十番 大吉

身をもやす心も安く富草の家ゆたかにぞ千代に栄ゆる

このみさとしは、粒粒辛苦の末、家整い財宝満ち、衣食足りる兆しである。
家運隆昌、子孫繁栄期すがよい。

三十一番 吉

榊葉にゆふとりしでてうちはらふ身にはけがれのくもきりもなし

このみさとしは、これ迄に心安からずにいたが、
次第によいきざしが見え初めた兆しである。しかし、物事の始まりであるから
何事も気永に行えば所願成就する。

三十二番 大大吉

のみいのるまことしあれはいなり山ちかいくもらぬ三つのともしび

このみさとしは、心事通達の兆しであるから神かけて祈る誠が神に通じ何事も願い叶う事と知るがよい。
ただ前後左右をよくつつしみ考え行うようにとのお示しである。